再転相続とは?(発展編)
相続放棄についてのQ&Aを掲載しましたが、今回は発展編として「前相続人(例:父)が被相続人(祖父)の相続をするかしないかを選択しないまま死亡してしまった場合に、前相続人の相続人(子)は、前相続人である父の承認・放棄する権利を有するか」といういわゆる「再転相続」の問題についてお答えします。
Q.父が祖父の相続放棄の熟慮期間内(相続の開始があったことを知ったときから3か月以内)に承認または相続放棄をしないで死亡した場合、祖父の相続を放棄して、父の相続について承認または放棄することはできますか。
A.できます。
相続人である子は、前相続人である父の承認・放棄する権利を承継取得することができるので、祖父の相続を放棄して、父の相続について承認・放棄することが可能です。
Q.それでは、上の事例で父の相続を放棄した後、祖父の相続について承認または相続放棄できますか。
A.できません。
先に父の相続について相続放棄した場合、相続権を失うので、祖父の相続の承認・放棄もできなくなります。
先に相続人である子が前相続人である父の相続を放棄して、もはや父の権利義務を何ら承継しなくなった場合は、子はその放棄によって前相続人である父が有していた祖父の相続権について承認または放棄の選択権を失うことになります。
よって、父の相続人である子が、先に父の相続放棄をしたときは、子は祖父の相続権をも失うため、祖父の相続の承認または放棄はできなくなります。
以上より、「再転相続」とは、前相続人が被相続人の相続をするかしないかを選択しないまま死亡してしまった場合で、相続人が先に前相続人の相続を放棄しなかった場合に、相続人の相続人が前相続人の承認・放棄する権利を承継取得することをいうということになります。